ストーカー被害に遭ったとき、まず最初に思いつくのが警察への相談です。しかし、警察に相談してもあまり対応してくれず、結果として大きな事件に発展してしまうというニュースもよく耳にします。

ストーカー被害を警察へ相談すると何をしてくれるのか、そもそも相談するべきなのか、疑問に思うこともあるかもしれません。事件へと発展するならなぜ、すぐに逮捕してくれないのでしょうか?警察に相談するとどのような対応をしてくれるのでしょうか。

警察に相談したときに対応してくれること

警察にストーカー被害を相談すると、まず対応してくれるのが、相談に乗ることです。どのようなストーカー被害なのか、詳しく話しを聞いてくれます。プライバシーや心情に配慮しながら、「警察安全相談員」という、相談業務を専門に行っている担当者が対応します。

ストーカーの被害に遭った時、「警察に相談したことで相手を刺激してしまうかも…」と不安になってなかなか相談できなかった、という声もよく耳にしますが、うかつに加害者に連絡をとることや、相談内容が外部に漏れることは無いので安心できます。

しかし、事件に発展していない場合や緊急性を感じてもらえない場合、最初はあくまで相談に乗るだけで終わってしまうことがほとんどです。緊急性や危険性がある場合は、それをわかってもらえるよう、認識のずれが生じないような説明が必要です。

警察署に行かずに電話で相談する

警察署へ行って相談することに迷うもあるかもしれません。警察に相談したことがわかると、ストーカー行為がよりエスカレートする危険がある。ストーカー被害に困っているが、警察署へ相談に行くほどではないと感じる場合もあるでしょう。そういう時は、電話で相談することもできます。まずは電話で相談してみることで、今後の対応の参考になるはずです。

参考外部リンク:相談ホットライン

ストーカー専門の部署へ相談をする

まず、どの部署に行けば対応してくれるのかといったところです。警察といっても、さまざまな部署があります。ストーカーに詳しい部署に相談しなければ、適した対応をしてもらえないかもしれません。例えば、家の近くの交番へ相談に行っても、そこにいる警察官がストーカー被害に詳しくない場合もあります。

ストーカー被害の相談は、所轄の警察署へ行きましょう。ストーカー被害の相談窓口は、「生活安全課」です。

警察が行う問題解決までの主な流れ

警察は、問題解決に向けてどのようなことを行うのでしょうか。全体の流れを知ることで、相談することへの安心にも繋がります。

被害者に対して助言、指導をしてくれる

相談者の生命への危険がなく、犯罪にいたるおそれは無いと判断された場合について、法律に基づいて助言をしてくれます。また、犯人についてどのような対応をすれば良いか指導してくれます。まだ犯人を逮捕して欲しいわけではない、というケースや、そこまで被害が大きくないという場合などには、助言や指導だけでも十分な場合もあります。

必要に応じて他の機関を紹介してくれる

警察以外の機関が対応することで問題解決につながると考えられる場合には、ほかの行政機関を紹介されることもあります。例えば、精神的に参ってしまっている人には医療機関を紹介してカウンセリングを勧めたりもしてくれます。また、身内からストーカーの被害に遭っていて、住所を特定されたくないというような場合には、住民票を不公開にする手続きをとる窓口を紹介してくれます。

指導、警告、説得

相談時点では法令に触れないとしても、今後ストーカーの行動がエスカレートして、相談者などに危害が出る可能性が高いと認められるような場合には、相手に対して指導や警告、説得を行います。

この場合は警察がストーカーに接触することになりますが、ストーカーの中にはストーキングをしている自覚がなく、警察から接触されて初めて自分がしている行為を認識することもあります。

検挙、補導

ストーカー被害について相談した事案が、規制法を始め、傷害罪や脅迫罪などの法令に反すると認められた場合は、相談という段階から一歩進み、事案が捜査担当部門へ引継がれます。

被害届の受理や、必要な捜査を行ったり、犯人を検挙、補導するというのがこの段階です。相談の段階で被害状況が深刻で、すぐに捜査担当部門に引き継ぐことが必要な場合もあれば、相談している間にストーカー被害がエスカレートしていくパターンもあります。

『警察は動かない』理由と、動いてもらうために必要なこと

ストーカーの被害者の中には、「警察に相談したけど全然動いてくれなかった」という感想を持つ人も少なくありません。警察が動いてくれないという問題がなぜ生じるのでしょう。

警察の役割は、犯罪行為を取り締まる機関です。そのため、犯罪行為ではないと判断される場合は、警察では取り締まることができないのです。犯罪行為を判断する基準は、法律に反した行為をしているか、危害を加える危険性があるかです。ストーカー被害の場合は、ストーカー規制法に基づいて、援助や処罰が必要か判断されます。

逆に言うと、ストーカー規制法に反した行為ではないと判断され、危険性を認められなかった場合、援助を受けられないことがあるのです。ストーカーの被害に遭っているとして警察に動いてもらうには、ストーカー規制法に基づいてストーカー行為の被害に合っていることを証明するのが早道です。

ちなみにこのほかにも、脅迫罪や傷害罪などのように、他の犯罪にあたる場合にも、警察が動いてくれるケースはありますが、その場合にも同じく、それが犯罪行為に当たると言えることが必要です。

では、警察に動いてもらうためには具体的にどんな行動が必要なのかを解説します。

1.証拠を提示する

つきまといなど、ストーカー行為がわかるものを提示することで証拠となります。例えば以下のようなものが証拠としては一般的です。

  • 送られてきた手紙やプレゼント
  • 無言電話の履歴、電子メール、SNSの書き込み
  • 暴言や名誉を傷つける発言の録音など

怖いからといって手紙を捨てることや、メールの履歴を消すことは避けましょう。また、手紙とは言えないメモ書きなども証拠に使えますので、どんな小さなものだったとしても保管しておくことが必要です。

2.ストーカー行為の危険について詳しく説明する

被害状況をできるだけ詳しく説明した方が、警察に危険性を感じてもらえやすくなります。例えば、どんな被害にあったのか、犯人はだれなのかということです。被害状況と犯人の情報は、警察に捜査や逮捕などの対応を求めるのであれば、最低限用意しておく必要があります。

具体的には、ストーカーの状況や頻度がわかるように、日時を明記して細かく記録を残したり、犯人にまつわる情報をメモする、ネット上でわかることはスクリーンショットで保管したり、データとして保管したりするなどです。記録があることで、警察へ整理しながら伝えることもできるのです。「証拠」と「記録」この2つを用意してから、警察へ相談に行きましょう。

3.弁護士を同行させる

自分1人で警察に行って被害を訴えた時には警察があまり親身になってくれなかったのに、弁護士を同行して行ったところ、警察の対応が明らかに変わった。こういったことを経験している人も少なくありません。弁護士は法律のプロフェッショナルなので、警察に相談位来る前にまず弁護士を通しているということによって、「これには事件性がある」ということを担保してくれる役割を持つのです。

また、弁護士と被害者との間で被害内容などについてしっかり整理されるため、警察としてはゼロから話を聞いて整理する手間が省けます。なにより、決して安くない弁護士費用を払ってでも弁護士を雇い、警察に同行させているという行為そのものが、被害者が受けているストーカー被害がどれほど苦痛を与えているかの証明となるのです。

警察に相談することで生じる危険がある

警察に相談し、警察が適切な対応をしてくれたとしても、そこにあるのはいいことばかりではありません。ストーカーのタイプや対応の種類によっては、危険が生じてしまうこともあるのです。

しかし、だからいとって警察に相談しないでなんとか解決しようと思うのは、更に危険です。まずは、どんな危険が生じる可能性があるのかを知り、その上で慎重な対応を心がけることが必要です。

逆恨みをされることがある

犯人は、強い恨みや執着を持っている場合があります。そもそもストーカー行為に走るような人物なので、一般的な人よりも執着心が強いと考えるのが自然です。また、ストーカーによくある特徴として、自分の行動を正当化する傾向があると言われています。

そのため、自分が行っていることが異常な行為であると自覚していないこともあるのです。そういったタイプのストーカーから、警察へ相談に行ったことを知られてしまうと、「裏切られた」と勘違いするかもしれません。また、捕まる恐れなどから、逆恨みをし、逆上することも考えられます。

自分にストーカー行為をしている加害者がどういったタイプなのかは、数あるストーカー行為のうち、どんなことを主に仕掛けて来ているかでわかることがあります。逆上型なのか、それとも自分がしていることがストーカーだと認識がない、悪意がないタイプなのかによっても危険度は変わってきます。

警察に相談してかえって逆上させるのでは、という不安がもしあるのならば、それも含めて警察に相談しましょう。

必要な措置が間に合わないことがある

警察は、状況によって必要な措置を行ってくれます。しかし、ストーカー行為が事件に発展する可能性があるほど危険だと認めてもらうことや、必要な措置が行われるまでには、時間を要する場合があります。その間にどのよう事態に発展するのか予測ができないところが、ストーカー行為の怖いところです。ストーカー行為にあった時、警察にさえ行けば安心だと油断せずに、慎重に行いましょう。

ストーカー被害を受けたら、警察と弁護士の両方に相談を

逆恨みや逆上されることが怖くて、警察へ相談できない、警察へ相談するほどのストーカー行為なのか判断できないという場合、ストーカー被害の専門家である弁護士へ相談する方法があります。警察に適切な措置を行ってもらうために必要な、ストーカー被害を証明するための証拠などについて、適格なアドバイスをしてもらえます。

自分で判断するよりも弁護士に相談することで、警察が動いてくれるための対策をとりやすくなります。ストーカー行為は、エスカレートしてくる場合が多い傾向あるため、事件に発展する前に早めの対策が大切です。警察に相談することでストーカー被害が解決することがベストですが、なかなかそうはいかないこともあるかもしれません。

そういった時には、警察への相談と並行して、弁護士に相談してみることをお勧めします。被害にあってしまったときには、「恥ずかしくて人には相談できない」と思うかもしれません。また、相談することでいたずらにストーカーを刺激するのでは、と恐怖を抱くこともあるでしょう。

しかし、とにかく、1人で悩み苦しむことは最も避けるべきことです。警察や弁護士に相談しても、直接ストーカーに接触してもらわずになんらかの対策をアドバイスしてもらうことはできるのです。ストーカーの被害に1人で悩まず、まずは専門機関に相談してください。