ストーカーをされているのではと、恐怖を感じるほどの行為に悩んでいませんか?

しかし、ストーカー行為といえるほどの被害なのか、判断できずに迷うこともあるでしょう。ストーカーとはどのような行為か、どのような規制ができるのかを定めているのが、ストーカー規制法です。

ストーカー規制法を理解することで、自分を守ることに繋がります。ストーカー被害から自分を守るためのストーカー規制法について、わかりやすく解説していきます。

ストーカー規制法とはどういうものなのか?

ストーカー規制法の正式名称は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」です。恋愛のもつれがもとで生じる、悪質な行為から守ってくれる法律です。そもそも、なぜこのような法律が定められるようになったのでしょうか。

ストーカー規制法ができたなれそめ

ストーカー規制法は、2000年11月に施行されました。施行されるきっかけとなったのが、1999年埼玉県桶川市で起きたストーカー行為による殺人事件です。

この事件は、女子大生が元交際相手の男性グループから、執拗な嫌がらせを受けた後に殺害されてしまいました。それまでは、ストーカー行為が殺人事件へと発展する事態はまれでした。ところが、警察が本格的な捜査に踏み込まなかったために、殺害事件へと発展してしまったのです。

恋愛によるトラブルとして片づけられ、事件へ発展する危険性を見過ごされがちだったストーカー行為が、処罰される対象となったのです。これにより、私たちはストーカー行為の危険から守られるようになりました。

ストーカー規制法は何を取り締まるものなのか

ストーカー行為は、「つきまとい等」と「ストーカー行為」の2種類に分けられており、この両方が規制の対象となっています。また、ストーカー行為とは、行為を繰り返し行うことをいいます。

ストーカー規制法によれば、一度きりの行為の場合は規制法違反とはなりません。ただ、各都道府県の条例によってこういった条件が緩和されていることもありますので、条例を確認することも有効です。まずは具体的にストーカー行為とされるものを見ていきましょう。

「つきまとい等」とは

つきまといとは、恋愛感情がもとで行われる、いやがらせ行為のことをいいます。この規制される行為には8つの形態があります。相手に好意を寄せている、その気持ちが満たされなかったことによる、恨みや妬み。こういった感情を満たす目的で行われる行為が規制されているのです。

嫌がらせの対象は、特定の相手だけでなく、その家族も含まれています。では、「つきまとい等」とされる8つの行為とは、どういうものなのでしょうか。

1.つきまといや待ち伏せなどの行為

まずは、つきまといや待ち伏せです。このほかにも、具体的には進路に立ちふさがったり、自宅、職場、学校で見張りをし、押し掛け、または意味もなくうろつくなどの行為が、これにあたります。具体的に、以下のような被害を受けているならば、ストーカーからの被害があると言えるでしょう。

  • 帰り道にあとをつけられる
  • 家で待ち伏せをされる
  • 帰り道の途中や、いつも立ち寄るお店やコンビニで待ち伏せをされる
  • 自宅や職場・学校の近くで見られている
  • 自宅や職場・学校のまわりをよくうろついている

2.行動を監視していると告げる

その日の服装や、どこに行ったなど、その日の行動を告げることで、監視していることを気づかせることも、ストーカー規制法では「ストーカー」と定義されています。例えば、帰宅した直後に「お帰りなさい」などと電話やメールをしてくる・SNSなどにあなたの行動などについての書き込みをするなどの行為がこれにあたります。

「見られている」ということを証明するのは難しい場合もありますが、ストーカー規制法では、見られていることの証拠がつかめなくても、告げる行為自体が規制されるので安心してください。また、告げる行為である、メールやSNSへの書き込みは保存しておくことで証拠として使うことができます。

3.面会や交際、その他義務のない欲求をしてくる

交際や復縁、デートなどを執拗に要求してきたり、「責任をとれ」など根拠のない言いがかりをつけることや、プレゼントなどを受け取るように要求してくることもストーカーにあたります。

被害者が拒否しているのにも関わらず、欲求を押し付けてきますが、逆上を恐れて無理に欲求を受け入れることで被害が長引いてしまううえ、「言うことを聞いてくれる人」として認識されてしまいます。毅然とした態度で断ることが必要です。

4乱暴な言動をする

大声で怒鳴ってきたり、「死ね」「殺す」などの乱暴な言葉やメールをしてくる、SNSなどにも、「死ね」「殺す」などの乱暴な言葉を書き込むといった行為もストーカーにあたります。このほか、家の前で大声を出す、車のクラクションを鳴らす、ガラスを割るなど乱暴な行動をする人も。

実際に被害にあうと非常に恐怖を感じてしまいますが、適切な対応を取ることが必要です。

5無言電話や電子メール、SNS等などの書き込みを執拗に繰り返す

電話をかけてくるのに、何も話さず無言電話をしてきたり、拒否しているにもかかわらず、携帯電話や会社、自宅に何度も電話をかけてくることもあります。電話だけではなく、ファクシミリや電子メールを送信してくる、SNSなどに書き込みをすることも同様です。

大声で怒鳴る、暴力を振るうなどの行為に比べればまだ軽いとも思えますが、そうではありません。無言の圧力により、徐々に精神をやられてしまうのです。他のストーカー被害と同じく、早急な対策が必要です。まずは、着信履歴やメール、SNSの内容を証拠として保存しておきましょう。

6汚物や動物の死体などを送りつけてくる

汚物や動物の死体など、不快感や嫌悪感を与えるものを自宅や職場に送り付けてくるのも、ストーカー行為の一つです。この心理は複雑ですが、単なる嫌がらせでこのようなことをしてくることもあれば、「自分のことを相手にアピールしたい」「自分が苦しんでいることを味わわせたい」というように、表現行為の一つとして行われることもあります。

7中傷や、名誉を傷つけるような発言などをする

SNSなどで、名誉を傷つけるようなことを書き込んだり、抽象をしたりすることもあります。例えば、被害者のアカウントにコメントをする形で「この人は不倫をしている」「会社で横領をしてクビになった」というようなことを書き込んだり、被害者とつながっているフォロワーにダイレクトメッセージを送って被害者を中傷するようなことを書くと言うような場合です。

このような場合は、ストーカー規制法に反する他、名誉毀損罪などにも抵触することがあります。

8.性的羞恥心を侵害する

わいせつな写真などを送り付けてきたり、ネットにアップしたりという行為も、ストーカー規制法では「ストーカー」にあたるとされています。また、電話や手紙、メールなどで卑わいな言葉を告げてきたり、撮影対象者を特定できるような、わいせつな写真をばら撒かれる。インターネットにあげられることもそうです。この場合は、リベンジポルノ防止の公表罪に抵触することもあります。

ストーカー規制法の対象は「恋愛感情」がある行為に限られる

ストーカー規制法が適応される行為は、実は恋愛感情や好意がもとで行われる行為に限られていることをご存じですか?「貸したものを返してもらっていない」と言われてつきまとわれたり、単なる嫌がらせ目的で中傷されたりというケースでは、恋愛感情が伴わないので、ストーカー規制法の対象ではないんです。

しかし、同じ場面で恋愛感情が伴わなかったとしても、相手が元交際相手や交際相手であれば、ストーカー規制法の対象になる行為となります。

ストーカー規制法の『警告』

ストーカー規制法では、被害者側が行える対策として数個の段階を用意しています。そのうちの一つが警告。ストーカー行為をやめるように、加害者に対して警告ができます。

警告が可能なケース

例えば、元交際相手や好意を寄せていると告げてくる相手からいつも家で待ち伏せをされている、無言電話や執拗なメールが送られてくるといったような被害を受けている場合には、加害者に対して警告することができます。

 警告をすることで期待できる効果

警察が「やめなさい」と警告をすることで、ストーカー行為が一時的に収まることが考えられます。また、警告されることで、相手がストーカー行為をしていると自覚することができます。ストーカーの中には、未練感情が募った挙句に行動に走ってしまい、それが止められずにどんどんエスカレートしてしまっている人もいます。

そういった人の中には、その行為がストーカー行為にあたり、違法となるのかどうかがわかっていない人もいるのです。また、恋愛感情がもとで行われるストーカーは、自分の欲求を満すための行為がストーカーにあたることを自覚していないことがあります。相手が自覚することで、ストーカー行為を抑制することに繋がります。

警告をするにはどうすればいいのか

警告をするためには、警察に警告申し出書を提出する必要があります。警告は、原則として、直接ストーカー行為をしている者に対して警告書を交付することで行われます。緊急を要し、警告書を交付する時間がない場合や、警告の内容が複雑でない場合には、口頭で警告が行われることもあります。

警告が行われた場合、その内容と日時を、警告が行われなかった場合にも、その旨とその理由を、速やかに申し出した人に通知することとされています。そのため、被害者側としては、警告してほしいと申し出たのに一向に警告された気配がない、と不安になることがなく、安心です。

『禁止命令』

警告に反してストーカー行為をくり返しても、処罰の対象とはなりません。相手がこのことを知っている場合は、警告を行ってもストーカー行為をやめないことが考えられます。ストーカー行為をやめなかった場合は、「禁止命令」を行うことができます。

仮の禁止令とは

警告の申し出をしても、ストーカー行為がおさまらないことも考えられます。身体の安全や、名誉が害されるなどのストーカー行為に関して、すぐに対処しなけらばならないという緊急性がみとめられた場合には、警告の代わりに仮の禁止令が行われます。

これは「さらに繰り返し、当該行為をしてはならない」という内容のことです。緊急性の無い場合は、仮の禁止命令を求める申し出の必要はありませんが、緊急性の高い場合には、証拠を示すなどをして、警察に相談をすることをお勧めします。

仮の禁止命令でも効果がなければ禁止命令に

警告をしたにも関わらず従わず、さらに行為を繰り返す危険があると認められた場合に、都道府県の公安委員会から禁止令を発することができます。禁止令に反して行為を繰り返した場合には処罰の対象となり、2年以下の懲役、または200万円以下の罰金が科されることがあります。

手続きとして具体的には、仮の禁止命令から15日以内に、『意見の聴取』という手続きが行われます。これは、仮の命令を受けた者に、申し出が不当でないか意見陳述の機会が与えられるためです。意見の聴取の結果、仮の命令が不当でないと認められると、聴聞を行うことなく禁止命令を行うことができます。悪質なストーカー行為が繰り返される場合には、禁止命令を出し処罰を求めた方が良いかもしれません。

2017年のストーカー規制法改正について

2017年にストーカー規制法が改正され、施行します。なぜ、あらたに見直されることになったのでしょうか。改正される理由や中身について詳しく説明します。

ストーカー規制法改正の背景

2016年、東京都小金井市でストーカーによる悲惨な事件がありました。当時、芸能活動を行っていた女子大生に対して、ファンを名乗る男がTwitterなどのSNSに執拗な書き込みをするというストーカー行為を繰り返しました。その後、小金井市のライブハウスにてナイフで刺傷し重体の傷を負わせたのです。

ストーカー規制法の改正前は、SNS等のメッセージをストーカー規制法の対象とされていませんでした。警察としても、緊急性のある行為なのか判断がつかず、動きづらい側面があったのです。今回の事件を受けてSNSの書き込みを含めたものや、そのほかストーカーに対する規制を強化することが決定されました。ネットでのストーカー行為に対しての規制を広げることで、凶悪事件を未然に防ぐことが狙いだといえます。

改正されたストーカー規制法の内容

ストーカー規制法が改正されたポイントは、SNSなどの執拗なメッセージや書き込みを「つきまとい行為」に追加したことと、罰則の強化をしたことです。

これまでは、加害者へ警告を行い、それでもストーカー行為をやめずに繰り返した場合に限って、禁止命令を出すことができていました。これでは、警告の時点で悪質な行為をしてくるストーカーに対して、対応が間に合わない事態が起きることもありました。凶悪な事件を未然に防ぐことを目的として、緊急時などには警告を経ずに、立件の対象となる「禁止命令」を出せるようになりました。

この改正により、ストーカー被害を受けている人は、インターネットを使った嫌がらせや、悪質な行為から以前より守られることになりました。今回の改正を有効に使うことで、ストーカーによる凶悪な事件を未然に防ぐことができます。

このストーカー規制法が改正されたことや内容を認知し、理解していない人も多いのではないでしょうか。ストーカー行為は、その人や状況により違いのあるものです。迷った時や、悩んだ時には、はやめに警察や弁護士などの専門家へ相談し、取り返しのつかない事態を防ぎましょう。

ストーカーの被害対策には、規制法に基づいた適切な対処を

ストーカーをしてくる相手はあらゆる方法を使い、あなたを精神的に傷つけ、身体の危険を感じるほどの行為をしてきます。そのような行為に傷つけられ、悩んでいる人を守るために、ストーカー規制法はあります。新たにが改正されたことで、ストーカー被害を受けている人は未然に凶悪な事件を防げるようになりました。

しかし、規制される行為や処罰の対象となる行為を熟知している人は、少ないのではないでしょうか。ストーカー規制法だけでなく、別の法律に反している行為もあります。実は立件の対象となる行為である、という事態もあるのです。何がそれに当たるのか、自分で判断することは難しいことだと言えます。警察や弁護士という専門家に相談し、アドバイスをもらいましょう。

警察に相談する時、うまく説明できず、適切な証拠を提示できなかったために、緊急性を感じてもらえなかったという、認識の差が生じることもあります。何が証拠となり、どういう処罰の対象となるかを熟知している弁護士に相談をすると具体的なアドバイスをしてもらえます。1人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。