Twitterなどの匿名性の高いSNSをしばらくやっていると、見知らぬ人からDMで絡まれることがあります。また、Facebookやブログなどでも、メール機能を使って全く知らない人から害意のあるメールが届き、不快な思いをしている人がいるかもしれません。

インターネット上で特定の人につきまとう人のことを「ネットストーカー」または「サイバーストーカー」と呼びますが、こういったネットストーカーの被害に遭ったときにはどう対処すればいいのか、そもそも予防することができるのかを解説します。

ネットストーカーに逢うとどんな被害を受けるのか

ネットストーカーという言葉はあるものの、実社会でのストーカーのように、その明確な定義がなされているとはいいにくいのがネットストーカーです。ここでは、典型的な被害事例についてまとめました。

ネットを介して個人情報を入手する

ネットストーカーの典型的なケースが、被害者のアカウントなどを調べ上げて個人情報を入手するという手法です。実社会でリアルにストーキングを行うストーカーが、個人情報を割り出すためにこの方法を併用することもあります。

勝手に被害者の秘密を暴露する

元配偶者や元恋人など、被害者と近い関係を有しており、被害者の極めて個人的な状況などを知っているネットストーカーに多いのがこのパターンです。被害者のブログやSNSのコメント欄に出向いて被害者が隠しておきたい秘密を暴露したり、被害者が親しくしているフォロワーなどにDMを送りつけ、知られたくないことを知らせるというような悪質な行為も見受けられます。

スパムメール(メールボム)を大量に送りつける

スパムメールは「迷惑メール」とも呼ばれます。一般的にスパムメールといえば、受信者を特定せず、無差別にメールを送りつける行為のことですが、ネットストーカーはこの中でもメールボムという手段を使って被害者に害を加えてきます。メールボムとは、被害者に対して大量にメールを送りつけること。

被害者がフリーメールアドレスを使用していれば、メールの受信は一定の制限がかかりますが、大量にメールボムを送りつけることによって受信容量に負荷をかけ、正常なメールを受け取りにくくするなどの被害が出ます。

掲示板や自身のブログで被害者を誹謗中傷する

被害者のアカウントに接触してきて、誹謗中傷などのネットストーキングをすることもあれば、2chなどの掲示板にスレッドを立てて誹謗中傷をしたり、自分でブログやオームページを開設し、そこで被害者の誹謗中傷を行うようなパターンもあります。

被害者自身に対するネットストーキングであれば、アカウントをブロックするなどで対応ができます。しかし全く知らないところで誹謗中傷などをされている場合には、被害を食い止めるために、自分に関する嫌がらせがされている掲示板を探すなどの余計な手間がかかることになります。

参考サイト:ネットストーカーの被害にあったとき、知っておきたい6つの対策

被害者に送られて来たメールを盗み読む

実社会のストーキングでも、自宅に盗聴器をしかけたり、車にGPSをしかけたりといった行為をするストーカーがいます。ネットストーカーもこれとよく似ており、勝手に被害者のメールアカウントにアクセスして被害者が送受信したメールを盗み読んだり、ウイルスを使ってパソコンにアクセスしてデータを閲覧したりする人もいます。

ネットストーカーを取り締まる法律

一昔前は、ストーカーといえば実生活でのつきまといや嫌がらせ、迷惑電話などが主流でした。ネットの普及に伴って、徐々にネットを利用したストーカーが増えてきましたが、その現場に法規制が追いつかない時期もありました。法規制が追いつかないことによって、加害者のストーカー行為をストーカーとして罰することができないという事態が起きます。

たとえば、SNSのダイレクトメールを使って執拗にメールを送るなどの危害を加えられたとしても、ストーカー規制法などの法律でその行為が犯罪に当たることが規定されていなければ、警察に相談しても逮捕してもらうことはできません。

ネットストーカー行為は、ネットの普及や進歩に合わせて日々変化しています。法規制が追いつくことが難しい分野ともいえますが、どんな行為がどんな法律に反するのか、現時点での情報を解説します。

ストーカー規制法

ストーカー規制法がなかった頃は、つきまといや嫌がらせなどのストーカー行為を効率的に規制することができませんでした。しかし、ストーカー規制法が成立したことにより、ストーカーそのものに対して法的なアプローチができるようになりました。

このあたりについては「ストーカー規制法は何を規制している?対象となる行為や中身をわかりやすく解説」で解説しています。ストーカー規制法は、基本的には実生活でストーカー被害に遭っているケースを想定していますが、ネットストーカーについても当てはまる箇所があります。

引用:e-Gov

  • 二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  • 三  面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
  • 四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
  • 五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
  • 七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  • 八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

ネットストーカー被害に遭っていて、被害の内容がこのケースに当てはまる場合には、ストーカーとして法規制の対象になります。

参考サイト:ストーカー規制法・警視庁

名誉毀損

ストーカー規制法の7号にも名誉に関する規制がなされています。これと合わせて、刑法230条の名誉毀損に該当するような行為があった場合には、そのストーカー行為は名誉毀損罪にも当てはまります。名誉毀損罪について、詳しくは「ネットの誹謗中傷を名誉棄損罪で刑事告訴する手続を徹底解説!」の記事を参考にしてください。

脅迫罪

ネットストーカーは、メールやダイレクトメッセージなどを使って被害者に執拗にメールを送ってきます。その内容は、最初は「好きです」「会いたいです」といった好意を示すものだったかもしれません。しかし、自分の要求が満たされないことがわかると徐々に「会ってくれないなら家に行く」「返事をしないなら会社に秘密をばらす」といったような脅しに変化することも少なくありません。その場合には、脅迫罪(刑法222条)が成立することもあります。

ストーカー規制法と他の犯罪との大きな違いは「反復継続性」

たとえば、「会ってくれないなら殺す」というメールは、脅迫罪にあたる可能性が非常に高い行為です。と同時に、ストーカー規制法の「三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。」にも該当します。しかし、ストーカー規制法とそれ以外の法律には、実は明確な違いがあります。それが、反復継続性です。

ストーカー規制法の条文を読むと分かりますが、加害者の行為が「ストーカー行為にあたる」と言えるためには、何度もその行為を繰り返すことが条件となります。一方、脅迫罪や名誉毀損などの犯罪は、この継続性が条件になっていません。そのため、一度でも「殺す」というようなメールを送ったら、脅迫罪が成立することになります。

ネットストーカーの被害にあったとき、取りたい12の対策

ネットストーカーからの被害にはどう対処すればいいのでしょうか?予防となる対策も含めて解説します。

ストーカー全般の対策については、ストーカー被害に遭ったら必ずすべき8つの対策としてはならないことに詳しく書いておりますので、合わせて読むとストーカー対策についての理解が更に深まります。

1.管理者に通報し、情報の削除を要求する

掲示板やコメント欄など、誰からも見えるような場所で自分の秘密を暴露されたり、悪口などを執拗に書かれたりしているときには、その掲示板やブログなどの管理者に対して通報することができます。誹謗中傷に関する詳しい情報や、削除依頼の方法などは、名誉毀損弁護士専門サイト で詳しく解説していますので、もしも誹謗中傷で悩んでいる場合は参考にしてください。

2.自分のアカウントやコメント履歴を削除する

ネットストーカーは、被害者がブログやFacebookなどのSNSでアップしている情報をくまなくリサーチして個人情報を割り出してきます。そうされることを防ぐために、自分がネット上に持っている全てのアカウントを削除し、一旦ネットから去るという手段も有効です。

ただ、中にはキャッシュとしてネット上に情報が残り続けたり、友人などとのやりとりはそのまま残ってしまうなど、単にアカウントを消去しただけでは不十分なこともあります。アカウントを削除する際には、合わせてキャッシュの削除をし、自分がつながっているフォロワーや友達などとのやりとりも確認しておくと安心です。

3.ネットストーカーをブロックする

ネットストーカーが全く見知らぬ相手で面識もなく、そこまで被害が大きくない場合には、相手のアカウントをブロックすれば解決することがあります。

ストーカーの心理として、構われたいという願望があります。例えば同じメールがAとBの2人に送られたとき、Aはメールに反応せずに完全に無視し、一方Bは「もう送ってこないでください」と律儀に返信をした場合、ストーカーはBに対してより執拗なストーキングをする傾向があります。

強い恨みをAに抱いている、異常に執着しているというような場合は別ですが、「誰でもいいから絡みたい」というようなネットストーカーの場合には、ブロックしてそれ以上接触できないようにすることも有効です。

4.アカウントに鍵をつける

ブロックと同じく、接触を断ちさえすれば解決するような軽い被害の場合は、自分のアカウントに鍵をかけるという方法もあります。これは、フォロワーなどの親しい人にしか自分の書き込みが見えないようにする方法です。

ただ、ネットストーカーが親しい人になりすましてフォロワーに潜り込んできたり、他人のパスワードなどを盗んで入ってくる可能性は残ります。鍵をかけたからといって油断せず、あまり個人が特定されるような情報はアップしないことが無難です。

5.パスワードを定期的に変更する

パスワードは定期的に変更しましょう。「パスワードには他人が知り得ない番号をつけましょう」というのはよく言われていることです。誕生日や電話番号の末尾は避け、0000などのあたりがつけやすい番号も避けるべきだというのは常識になってきました。

そのため、例えば恋人の誕生日、ファンのアーティストにまつわる数字など、容易には知り得ない情報からパスワードを設定することが一般的です。しかし、ネットストーカーは想像以上に被害者の情報を把握しています。どんな本を読むのか、誰のファンなのか、地元はどこか、恋人はいるのか…そこからパスワードを推察されることがないとは言えません。

また、銀行やクレジットカードなどのパスワードであれば、数回間違えるとロックがかかるため安心ですが、メールアカウントのパスワードなど、何度間違えてもロックがかからないものもあります。「たくさんあると忘れて困るから」という理由でパスワードを全て共通にしている人も多いものですが、ロックがかからないところでパスワードを入手されてしまえば終わりです。

そうなることを避けるためにも、パスワードはこまめに変更し、合わせていろいろなところで共通するパスワードを使わないように注意しましょう。

6.位置情報設定をオフにする

直接ネットストーカーの被害を防止する方法ではありませんが、基本として気をつけておきたいのが、SNSなどの位置情報設定です。ツイッターでは、投稿した際にどこから投稿したのかを表示する機能があります。これはTwitterのみならず、グーグルなどのアカウントを持っている場合でも同じです。

位置情報を表示する設定にしておくことで現在地がストーカーにバレたり、自宅の所在地がバレたりという危険があります。位置情報を表示しない設定になってるかは、しっかりと確認しておきましょう。

7.犯人を特定し、警告する

ネット上で匿名を使ってさえいれば、素性がバレないという時代はとっくに終わりました。匿名でアカウントを持っていても、IPアドレスなどから個人を特定するのは難しくありません。ですが、これはネットストーカーの加害者にとってもいえることです。

ネットストーカーが匿名アカウントだからといって諦める必要はありません。「発信者情報開示請求」という手続きをすれば、加害者を特定することが可能です。加害者を特定し、内容証明郵便などを使って、これ以上付きまとわないように警告文を送るという方法があります。

参考サイト:プロバイダ責任制限法とはなにか?とにかく分かりやすく解説しました

8.「自分だけが知っている情報」を減らす

ネットストーカーの中には、人に知られたくない情報を勝手に拡散することで被害者にダメージを与えて喜ぶ人がいます。弱みを握った気になるからです。とすれば、それが弱みではなくなったら、ネットストーカーにとっては旨味がなくなり、うまくいけば被害者に対して興味自体を失う可能性もあります。

他の対策と比べると方向性が全く違う対策法ですが、こういった「知られたくない情報」を減らすというのも一つの手段です。

9.禁止命令

ストーカー規制法によれば、執拗にメールをしてくるなどのネットストーカーに対しては、そういった行為をやめるように警察等から禁止命令を出すことができます。警察等からの禁止命令は、違反すると罰則が課されるため、ストーカーに対しては抑止力が働きます。

自分がしていることがそこまで大ごとではないと思っていたストーカーや、自分の素性が被害者にバレていないと思っていたネットストーカーなどに関しては、警察からの警告や接近禁止命令は効果的な方法の一つです。

参考:警察にストーカーの相談をしたら本当に助けてくれるのか?対応を解説

10.Facebookのタグ付け機能に注意

Facebookには「タグ付け機能」という機能がありますが、これは誰かと一緒にいるときに、自分のタイムライン上に投稿するときに、その人のアカウントを繋いで、誰と一緒にいるかを表す機能です。タグ付けされることで、プライベートな情報がネットストーカーに知られてしまう可能性があります。

Facebookの場合は他人のアカウントでタグ付けされることを拒否できる機能はありませんが、自分のタイムラインに載せるかどうかを決めることはできます。また、タグ付けはしないようにあらかじめお願いしておくなどの対策をとっておくことも一つの方法です。

11.パソコンやスマホのウイルス対策をしっかりと

ネットストーカーの中には、遠隔操作ウイルスを被害者に送りつけ、被害者のパソコンをウイルス感染させて遠隔操作をして情報を盗み取るという、悪質な行為を行う人もいます。こういった被害を防ぐためにも、パソコンにはウイルス対策ソフトを入れておきましょう。

ウイルスは日々進化しており、昔のウイルス対策ソフトでは防げないウイルスもあるため、過去に購入したウイルス対策ソフトがあるからいい、と思っている人は要注意です。

12.ダイレクトメールの拒否設定をする

掲示板やSNSなどでも手軽にメールやメッセージを送れるようになりました。しかし、これがネットストーカーの温床になっているといっても過言ではないかもしれません。誰からでもメールが届くことを防ぐため、SNSでは設定によってメールの送信者を限定することができます。

Twitterであれば、フォロワー以外からはダイレクトメールを受け取らない設定ができます。Facebookの場合はメッセンジャーの受信制限はできませんが、特定のアカウントからメッセージだけを拒否する設定が可能です。

ネットストーカーは放置せずに早急に対策を!

自宅にいながら、被害者のあらゆる情報を入手するネットストーカー。ダイレクトメールを通じて執拗にメールを送りつけてきたり、掲示板やブログなどに誹謗中傷を大量に書き込んだりと、悪質さは現実世界でのストーカーと変わりはありません。

ネットストーカーの特徴は、全く知らない人からもストーカー行為を受けやすいということです。アカウントを削除したり、ブロックしたりという方法によって解決することもありますが、かえってストーカーを刺激してしまうこともあります。

また、時間が経てばおさまるだろうと考えて何も対策を取らずに放置しておいたとしても、自然に解決することは難しいでしょう。ネットストーカーがエスカレートしてリアルの生活に出てくる前に、早急に対策をとりましょう。

 

当弁護士事務所の弁護士はすべて、インターネット上で起こる様々な問題に日々対処しており、ネットストーカーへの効果的な対策方法の他、ネットに関する知識も豊富です。日本一気軽に相談できる法律事務所ですので、まずはお電話またはメールにて気軽にご相談下さい。